夜籠もりの下弦は恋を知る
「え…?今の訂正って重要…?」
「重要ですよ。遊び人ではなく女性に優しいだけですから」
どうやら火遊びをしたことに対するはっきりとした否定の声は、望めないようだ。
「もうプレーボーイでもフェミニストでも何でもいいけどさ、見境なく女教師を口説いちゃダメだから!許されないからね!」
「フッ、佐殿は優しいな。ここは激怒するところなのに、たしなめるとは…。愛されてるなぁ、重衡」
どこか嫌みったらしく言う知盛。
だが、そんな兄を無視して弟は語る。
「いや、潤さん。口説いて正解でした。俺が退学になって転校しなければ貴女には出会えなかった」
彼女の手を握り、力説する前世の夫。
(何だかな…。上手ーく話の筋を変えられたような…?)