夜籠もりの下弦は恋を知る

そこへ、平野家の主、清盛が襖をバシッと開けて登場した。

後ろには徳子もいる。

「おう!皆揃ったか!?」

「まだです。お祖父様。俺の両親がいません」

維盛が素早く人数状況を報告する。

「基盛と宗盛一家も来てないな」

知盛が補足した。

「まあ、いずれ帰ってくるだろう。連絡はしたからな」

清盛はテーブルの上座、わかりやすく言うと「お誕生日席」に座った。

徳子とその母親がみんなのコップに酒を注(ソソ)いでいく。

もちろん、ちびっ子と未成年にはジュースだ。

「では!乾杯といくか!」

コップを持ち上げる清盛。

「重衡の妻、輔子殿との再会を祝して…乾杯!!」


「乾杯!!!!!」


それぞれの声が合わさって、宴会がスタートした。


(そういえば、知盛さんも言ってたけど…私、重衡さんの女性問題でかなり悩んでたことあったよね…)

前世の記憶が少しだけ脳内をよぎる。

(確か、あれは…結婚当初…)










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