夜籠もりの下弦は恋を知る
朝のホームルームが終了し、束の間の休み時間が訪れた。
(もうー最悪。公衆の面前で抱きしめられるわ、キスされるわ、単語帳忘れるわ…)
色々とゲッソリな潤。
(普通の登校時間だったから、かなりの生徒に見られたし…)
「潤ー!見ちゃったぞ!今朝の」
(早速か…)
潤の友人、揚羽(アゲハ)がからかう気満々で寄ってきた。
「あれは私じゃない~」
「いやいや、バッチリあんただったから。にしても、相手の男子誰だったの?見覚えない顔だったけど」
「私だって知らないよ~」
机に突っ伏しながらふて腐れていると、教室のドアが開き、聞き覚えのある声が飛んできた。
「失礼、藤沢潤(フジサワジュン)さんいますか?」