夜籠もりの下弦は恋を知る
そして、思う。
「貴方様になら、壊されても構いませぬ」
柔らかい声で本音を漏らせば、重衡が驚いたように見つめてきた。
「どうぞ、存分に私を壊して下さい。それが重衡様のお望みなら、輔子は喜んでお受け致します。それに…私は貴方様との御子を早く授かりたいのです」
「輔子…!!」
感極まったような声が上がる。
輔子はクスリと笑いながら続けて言った。
「重衡様、女子(オナゴ)はそう簡単に壊れるようにはできておりませぬゆえ…ご心配なさらずともよろしいのですよ」
「え…!?しかし…輔子の腰はか細い…。抱く度に折れてしまわないか不安で…」
「まあ!どなたと比べてか細いなどとおっしゃるのですか?」
からかい半分、嫉妬半分で指摘する。
「輔子…」
そんな意地の悪い言葉を紡ぐ妻の愛らしい唇に、ご機嫌取りの口づけを一つ。
「…狡いです…重衡様」
「フフッ、知ってます」