夜籠もりの下弦は恋を知る
(意外と麗花さんもお酒強かったよね。私や重衡さんにも飲まそうとしてきたけど、維盛さんが阻止してくれたっけ…)
維盛は重衡と同い年で、重衡が転校する前の学校に通っているそうだ。
(おじと甥っ子が同い年って…なんか微妙…)
まあ、そんな呟きはさておき、休み時間を告げるチャイムが鳴り響くやいなや、潤は教科書をしまい、思い切り伸びた。
「よっ!だらけてるね!」
親友の揚羽(アゲハ)だ。
「いいじゃん、だらけてても~」
「はいはい。そんな貴女にこの一枚!」
そう言って揚羽が渡してきたものは古文のプリントだった。
「次の時間、古文でしょ?なんか今日は自習らしいから、課題プリントやれだって」