Diva~見失った瞬間から~

「何か出来なきゃ、

連れてきちゃいけねぇの?」

葉月君が少し声を張って言った。


皆…目を見開いていた。

驚きを隠せない、そんな感じだった。


「いや…別にそうじゃねぇけど…。

ただ気になっただけだよ。」

…………あぁもう。


葉月君、別に遮ってまで

言ってくれる必要なかったのに。


「……。」

ホラ。空気が少し重いよ。


「………奏乃、だっけ。」


「………え?あ、はい。」

西谷さん…(だっけ)に名前を呼ばれる。


「Canzoneって知ってる?」

……カンツォーネ?何語ですか。

………………ん( -_・)?


『ねぇ、聞いた?Canzoneの新曲!』


『聞いた聞いた!!ヤバかった!』


『うんうんっ!

今度さ、カラオケ行って歌おうよ!!』


『絶対行くー!歌いたい!』

……………もしかして。


「………か、歌手?」

ヤバいどうしよう、自信無い。


「………へぇー、知らないんだ?」


「え゙っ…。」

隠しきれなかった……(;´Д`)。


「良いよ、テン。練習室行こう。」

少しだけ、西谷さんはクスッと笑うと

今まで座っていたのに

スクッと立ち上がった。


………背、高い。


「セイ…。」

真川さんがまた驚いた。

何をそんなに驚くことが有るんだろう。

人が立ち上がるのは当たり前なのに。


「……テンにセイも言うなら良いか。

よし、じゃあ練習しに行こう。」

河崎さんも立ち上がった。


……………私はどうすれば良いのか。


「今日の練習室どこ?」


「Cだ。昨日言ったろ。」


「つか何で事務所じゃねぇんだよ。」


「今日は社長が

別の事務所の人とお茶会だと。」

私と真川さんを置いて、

せっせと話をする男3人組。


「………奏乃、あんた凄いわね。」


「え?」


「あはは、私まで気に入っちゃったよ。」

真川さんはそう言って、

男3人組の方へ駆け足で駆け寄る。


「コラーッ!!

奏乃置いてってどうすんのよ。」


「「「あ。」」」

3人一緒に私の方を振り向いた。


…………結局私も行くのか。帰りたい。





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