Diva~見失った瞬間から~
―――…。
私は、一瞬にして葉月君達の、
"Canzone"の世界に呑み込まれた。
人の心に直接響かせる
完璧で絶妙なバランスを保っていて。
そして、その音楽に乗せた…。
「―――…。」
切なくて、儚くて美しい男声ボーカル。
歌っているのは、
あの日公園の裏で歌っていた曲だった。
この空間には、"あの空間"と
似ている心地良さがあった。
この感じには私の中から懐かしさと、
寂しさ。それと同時に
もう2度と味わうことが出来ない
そう思っていたこの感覚を
また味わうことが出来た。
そんな、
どうしようもない嬉しさがあった。
音楽には関わらない。
あの誓いを忘れかける程の嬉しさが。