Diva~見失った瞬間から~

私が聞きたいこと…。特には無い。

でも、気になることはある。


「葉月君は、私に

こんな秘密を話してよかったの?」


「え?」

葉月君は予想外のことを聞かれたらしく

少し驚いた様子だった。


だって、私は蒼空君じゃない。

お互いに信頼し合える程

長い間一緒に居るワケじゃないし、

私が葉月君と近い位置に居て

相談にのれるというワケでもない。


寧ろ私と関わる、

時鶴以外の人々は皆言う。

私とは、常に距離感を感じると。

口数が少ないのを

自覚してるから構わないが。


私に音楽の才能が有ると

確信したワケでもない。

それどころか葉月君や蒼空君の前では

音楽には全く興味を示さなかった。


親しい友人に

秘密を打ち明けたワケじゃない。

私をバンドに入れたいワケでもない。

なのに何で私に秘密を話したのか。


それが気になることだった。


「………何でだろうな。」

葉月君らしくない、

曖昧な答えが返ってきた。


でもその表情は、

本当にそう思っているのか、

はたまた本当は

違うことを思っているのか。

全く読めない表情だった。




< 108 / 500 >

この作品をシェア

pagetop