Diva~見失った瞬間から~
私が聞きたいこと…。特には無い。
でも、気になることはある。
「葉月君は、私に
こんな秘密を話してよかったの?」
「え?」
葉月君は予想外のことを聞かれたらしく
少し驚いた様子だった。
だって、私は蒼空君じゃない。
お互いに信頼し合える程
長い間一緒に居るワケじゃないし、
私が葉月君と近い位置に居て
相談にのれるというワケでもない。
寧ろ私と関わる、
時鶴以外の人々は皆言う。
私とは、常に距離感を感じると。
口数が少ないのを
自覚してるから構わないが。
私に音楽の才能が有ると
確信したワケでもない。
それどころか葉月君や蒼空君の前では
音楽には全く興味を示さなかった。
親しい友人に
秘密を打ち明けたワケじゃない。
私をバンドに入れたいワケでもない。
なのに何で私に秘密を話したのか。
それが気になることだった。
「………何でだろうな。」
葉月君らしくない、
曖昧な答えが返ってきた。
でもその表情は、
本当にそう思っているのか、
はたまた本当は
違うことを思っているのか。
全く読めない表情だった。