Diva~見失った瞬間から~
「――…。」
葉月君の声は…本当に綺麗で澄んでる。
そして、周りを纏う音楽は
ピッタリと重なりあっていて。
たまにピンッと聴こえる倍音が
私の箱の中に有る何かを刺激した。
『カナッ!!今の倍音最高だよーっ!』
"彼女"を思い出さずには、
いられなかった。
思い出してはいけないのに、思い出す。
重なり合って、綺麗にはまった音程。
その中に
スルスルと呑み込まれる感覚を。
心地良くて…懐かしい感覚を。