Diva~見失った瞬間から~

「うわっ!?な、何で泣いた!?」

失礼すぎる。何だこの人。


「社長。ソイツはテンの連れですよ。」

西谷さんが適当そうに私を紹介した。


「…………社長…?」

この人が?


「テンの?あ、この子が!」

真っ黒なスーツを着こなす長身。

実際に何歳なのか分からないけど

若々しさを感じさせるその顔の作り。


「初めまして。ここの事務所の社長の

及川藍雅(オイカワ アイガ)ってゆうんだ

…けど。」

帰りたい帰りたい帰りたい。


でも、

ここで無視して帰るのは失礼すぎる。

てか、社長だし。


「………相澤、奏乃です。」

自己紹介だけして、帰りたい。


「………うん。奏乃…ね。うん。」

……ここの事務所の人は初対面だろうが

名前の呼び捨てで呼ぶのね。


「…とりあえず…涙を拭こうか。」


「………え…うわっ。」

ギュッと、頬に圧力を感じた。

痛い痛い。ちょ、何。


「ん、ホラ。眼鏡外して。」

社長さんは私の眼鏡をパッと外す。

うわ、見えない。


「………?君は…。」




< 125 / 500 >

この作品をシェア

pagetop