Diva~見失った瞬間から~
「……葉月君…!」
無意識に、葉月君を呼んでいた。
その声は、自分で出したくせに、
情けないくらい小さくて、嫌になった。
絶対、聞こえない位の小さな声。
「君は、もしかして…け…。」
もうダメだ…。
ごめん…、鈴…。
「社長。カナ、
眼鏡を取られるのは嫌みたい。
返したげてよ。」
フッ…と、シトラスの香りがした。
「カナ、大丈夫?」
「…………あ…。」
顔はよく見えない…けど、
この心地良い安心感が
葉月君だと確信させた。
「………は、づき…君…。」