Diva~見失った瞬間から~

「………カナ、荷物は?」


「………。」

ごめんなさい、葉月君。喋れない。


「あ、天瀬君っ!ここにあるよ!」

時鶴が代わりに答えた。


「そう。じゃ、帰ろうか。」

待って。まだ立てません。


起き上がるだけで気持ち悪い。

葉月君には悪いが、

とても立てそうもなかった。


「カナ、立てない…か。」

どうやら分かってくれたようで。

葉月君。君は本当に紳士だね。


「じゃあ、ちょっと揺れるだろうけど、

我慢してろよ。」


「え……、ぅわっ…。」

なんと言うことだ。


私は、葉月君に持ち上げられた(?)。




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