Diva~見失った瞬間から~
《ガチャ…》
「………ただいま。」
家に着き、時刻は5時半を過ぎていた。
今日の夕飯は何が良いかなー…
とか考える。
でも、熱を出した月曜日からここ数日…
私の頭の中に何か悶々(もんもん)と
引っ掛かるモノがあるのだ。
一種の悩み…苦悩…
というところだろうか。
私の中で、封印していた"箱"が
何やら動いている気がしてならない。
葉月君の、手に…心に、触れてから。
熱で朦朧としながらも、
しっかりと記憶はしていたから。
それに…気のせいかもしれないけど、
葉月君と会った日から、今までに以上に
"彼女"の夢を見るようになった。
そして、彼女は何故か
『俺は…
カナが苦しんでるように見える。』
『カナに…
苦しい思いはしてほしくないの。』
葉月君と同じことを言うのだ。
私は、苦しんでなんかいないのに。
私は、ちゃんと笑っているのに。
葉月君と、鈴。
どうしてだろう。他人に思えないほど…
私に言うことが同調して聞こえる。
まるで、葉月君と鈴が
2人で1つのことを
私に伝えようとしているように。