Diva~見失った瞬間から~
「…だから、相澤です。」
負けじと復唱(?)。
相手が私の名字だけではなく、
名前をも求めているのは分かっている。
………が、名前は言いたくない。
と、しきりに私自身が思うのだ。
「……なんでこんなとこに居んの。」
どうやら私が名前を教える気が無いと
気づいたらしい。
目の前の美形は質問を変えてきた。
……手は離してくれないのかよ。
「……首が痛いです。
お願いですから手を離してください。」
もう、頼むから。
だって首がヤバい。
あと、こんなに綺麗な顔の人と
こんな長時間見つめ合うのは
拷問も良いとこだ。
…軽く自分の顔が哀しくなってくるし。
「……俺の質問に答えたら離す。
なんでこんなとこに居んの。
相澤…さんは。」
最後の、かなりの違和感を感じた。
相澤って確かに教えたけどさぁ…うん。
とりあえず首のために、
あたしは彼の質問に答えることにした。
「散歩していたら、
たまたま辿り着いたんです。」
嘘は言ってない。
うん。OKなハズ。