Diva~見失った瞬間から~

「お、葉月ー!」

ピタッと、私の前を歩いていた

葉月君が足を止めた。


ゾクッ…。

私の体には何か…悪寒が…。


「葉月!久し振りだなぁおいっ!

元気か?」


「元気じゃなきゃここに居ねーよ。」


「あれ?あ、そうか。」

葉月君と喋ってる人…。

嫌だ…私。

この人の声聴いたことがある。


私はバレないように、

出来る限り葉月君の後ろに身を隠す。


怖い。怖い。……だって、

この人の声を聴いたのは…3年前。

"前の私"の状態で、聴いたのだから。


しかもこの人は…

"前の私"の正体も知ってる。

"前の私"と、話したことがある。


嫌だ…怖い。

この人には、会いたくない…。


「葉月、後ろの子がモニターか?」

ビクッと体が反応してしまった。

やだ…どうしよう…っ。


「うん。

って言っても2週間前くらいから。」

葉月君は、

この人を信頼しているのだろう。

だってこの人、とても良い人だもの。


「へぇーお前らがモニター取るなんてな。

どれ、どんな子?」


「………っ!」

葉月君は、この人に

私を見せようと体を退かした。


嫌だ、退かないで。退かないでよ。

私、この人に顔を見られたら…。


「………ケ、イ…?」

この人に、

眼鏡だけじゃ誤魔化せる訳がない。

私は一瞬で"前の名"を呼ばれた。




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