Diva~見失った瞬間から~

「あ…えぇ。

コレを奏乃ちゃんに渡したかったの。」

そう言って鈴のお母さんが

テーブルの上を滑らせて、

私に渡したのは白い封筒。


「……あの日、鈴が亡くなった後、

あの子の遺品を整理してたら

引き出しから出てきたの。

コレ…奏乃ちゃんに。」


「え…私に、ですか?」

封筒は、本当に真っ白で無地。

鈴らしくない、質素な封筒だった。


「…えぇ。あの子、その封筒。

宛名も書いてないでしょう?

私も分からずに読んじゃったけど…。」


「……。」


「読んで。奏乃ちゃん。」


「………は、い…。」

白い封筒を開けた。




< 218 / 500 >

この作品をシェア

pagetop