Diva~見失った瞬間から~

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今、あたしは

自分の部屋でコレを書いてる。

コレを始めに読むのは誰かな、

なんて思う。


多分…あなたがコレを読んでいる時。

あたしはあなたの側には居ない。


あーあ。

素直じゃないあたしに嫌になる。

きっとあたしは、

あなたとの最後のお別れの時まで、

素直にはなれないんだろうなぁ。


あたしが病気の存在を知ったのは

中学に入る直前だった。

お母さんは一緒に来たから知ってたけど

回りの人には一切言わなかった。


どうせ、残りが少ない命。

だったら何をしても一緒じゃんって

思ってた。

でもね、あたしをたった一言で

あなたはそのあたしの考えを壊したの。


「鈴と居ると生きてる感じがするよ。」

そう言われたとき、

あたしは凄く救われた。

 
知らないでしょう?

あなたの言葉1つ1つが、あたしに

どれだけの幸せを与えているか。

何回も泣きそうになったんだよ?


あたしが今、

現実と向き合って生きているのは

きっと、あなたのお陰なんだよ。

あなたのお陰で、あたしはここに在る。


あなたはあたしに

たくさんのモノをくれたの。

ステージと言う輝ける場所をくれた。

夢と言う名の生きる理由をくれた。

感動する程の歌声をくれた。


…出来ることなら、忘れないで。

あたしと過ごした短くも確かな時間を。

あなたが作った、数々の名曲を。


きっと、あたしは言ってしまうよね。

忘れないで。守って。

そして、

その言葉はきっとあなたを苦しめる。

あなたから自由を奪ってしまう。


だから、コレを書いたの。

ちゃんとあたしが喋らなくても

あたしの言葉が伝えられるように。

あたしの本当の願いが

あなたに伝えられるように。


どうか、どうか、自分を責めないで。

あなたはあなたの夢を叶えて欲しい。

あたしは寂しくないから。


あなたが歌わなくなってしまった方が、

あたしは寂しいし、悲しいから。


だから、お願い。歌声を響かせて。

あたし達が一緒に過ごした時間を

生かして、

あなたの歌であなたの夢を叶えて。


あたしはずっと、

歌ってるあなたが好きだから。

あなたの歌が大好きだから。

あたしはいつでも、あなたを想ってる。


ありがとう。

あたしに最後まで

かけがえの無いモノを与えてくれて。


ありがとう。

あたしと時間を共にしてくれて。


ありがとう。ありがとう。

どうか、幸せになって下さい。


きっと、あなたの幸せが

あたしの何よりの幸せだから。


どうかあなたが

この手紙を読んでくれますように。


あたしは、残された時間を

全てあなたとのステージに捧げるよ。


一緒に歌ってくれてありがとう。



永遠の友情を込めて.Diva.Lin.



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