Diva~見失った瞬間から~
「………っ…。」
涙が溢れて、止まらなかった。
「……鈴は、手紙では
"あなた"としか書いていなかった。
でも私は…読んだ瞬間に
奏乃ちゃんのことだって分かったわ。」
「………うっ…鈴…っ…。」
知らなかった。
鈴はいつだって
私の幸せを願っていてくれたのに。
「…奏乃ちゃん。
また…歌ってくれないかしら?」
「………っ…。」
私の涙は止まることなく
頬を伝って流れ落ちる。
馬鹿…ホントに馬鹿だ、私。
鈴の気持ち、全然分かってなかった。
「読んで分かったと思うけど、
鈴はいつも
あなたの歌声を応援してた。」
「………はい…っ…。」
「毎日、毎日。鈴から聞く話は
奏乃ちゃんの話だったのよ?」
………私の話?
「カナが、カナが…って。
話の始まりの言葉は殆ど"カナ"だった。」
「………そんな…っ。」