Diva~見失った瞬間から~
鈴は、変わった子だった。
私が鈴の出す話題に、
決して良い答えを出す訳でもないのに、
鈴は学校にいる間
私の側から離れなかった。
相槌を打たずに
無視することだってあったのに
鈴は嫌な顔1つせずに
私の隣で笑って話をしていた。
時鶴とは少しタイプが違うけど、
それでも良い子だということは
分かっていた。
始めこそ鬱陶しく感じたものの、
偽りなく笑顔で私と接してくれる鈴に
私はいつの間にか心を許していた。
「カナー。ここの問題分かんないー。」
「また?ここの問題は…。」
家族を失って以来。
鈴は時鶴以外に初めて
心を許せる相手になっていた。
「カナー。」
「ん?」
この日も、鈴らしく突然だったんだ。
「カナって、歌好き?」
「え、何急に。」
「あのね、一緒に歌手デビューしない?」
「はぁ?」
何を冗談を言っているんだ、と思った。