Diva~見失った瞬間から~

「顔出しは、しない。本名も出さない。」

鈴がそう言った時。

私は少し驚いたけれど、

反対はしなかった。


「しゃちょー。あたし達、

歌だけで皆と向き合いたい。」


「……奏乃は?」


「私は、鈴に任せる。

私をここに導いてくれたのは、

鈴だから。」

そう、

私は鈴の望むアーティストにしたい。


「……分かった。

じゃあ、本名じゃない名前は?」


「それは考えてなかった…(ーー;)。

カナ…何か無いかなー…?」

こう言うときに

私に聞くのは間違ってる。


「私…

単純なのしか思い浮かばないよ…。」


「何でも良いよ!ニックネームくらい

カナが付けてよっ!」


「ニックネーム…。」

"鈴"と"奏乃"…。

"りん"と"かなの"…。


「じゃあ…"エル"と"ケイ"………とか?」


「"エル"と"ケイ"?

あたしが"エル"でカナが"ケイ"?」


「うん…。」


「何で?」

理由を聞くのか…。


「……"鈴"の"L"と、"奏乃"の"K"。」


「…………イニシャル!」

鈴がパアッと言う

効果音が付きそうな笑顔で

勢いよくそう言った。


「良いじゃんっ!カッコいい!!」


「…………単純…。」


「しゃちょー、うっさい!」

単純ですみません。


こうして、

"Diva"と"エル"と"ケイ"が誕生した。




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