Diva~見失った瞬間から~

私達のデビュー曲は、

初めての作詞作曲ながら

物凄い売り上げと、人気だった。


自分でも全然実感が湧かなくて、

CDショップに置かれている

DivaのCDを見て初めて

歌手になったと言う実感が湧いた。


「ねぇねぇカナ、まだ1位だよ!

嬉しい限りだねぇー♪」

学校帰りにCDショップに寄っては、

毎回人気のCDの棚に行って、

DivaのCDがあるかを確かめていた。


1曲創ったら、もう1曲創って。

1曲歌ったら、もう1曲歌って。


なんだこれ。凄く楽しい。

ギターも、ベースも、キーボードも。

ダンスも、歌も。


1つ1つが私を生かしてくれてると、

そう感じた。


ライブでも

その楽しさを味わうことが出来た。

勿論、ゴーグルとかで顔を隠したけど。


"私"という存在が

認められてると分かって。

涙が出そうなくらい嬉しかったんだ。


『ちょっと、

誰が引き取るの?あの子…。』


『やだ、うちには寄越さないでよ。』


『うちだって嫌よ。あんな疫病神…。』

たとえこの世界の人が、

"相澤奏乃"を認めてくれなくても。


『ケイー!歌ってー!』


『もう1曲!!もう1曲!!』

"ケイ"が認められるのなら。

私にとってこんなに嬉しいことはない。


私は、

この世界で生きていても良いですか?

私は、

このステージに立っても良いですか?


「よぉしっ!ケイ!

もう1曲行っちゃおう!」

私は…。


「うんっ。」

ここで歌っていて良いですか?


幸せだった。

1人の時間を…

孤独の時間を忘れるくらい。

あなたとの時間は幸せだったんだよ。




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