Diva~見失った瞬間から~

あなたが忘れないでと願うのなら、

私は絶対に忘れないよ。


「…柚唯君、いえ。

社長…Divaは…解散です。」

あなたとの"Diva"。


「………良いのか?」

あなた無くしては、有り得ないのだ。


「私、もう…事務所辞めます…。」


「奏乃…。」


「今まで、ありがとうございました。」

もう、私には何も無い。


せめて、あなたの願いは叶えてみせる。

私はあなたとの日々を忘れない。

この脳内の思い出に、上書きもしない。


私が歌を歌ってしまったら、

あなたは苦しむのかな。悲しむのかな。


私が他の場所を

ステージにしてしまったら、あなたを

忘れることになってしまうのかな。


あなたとの日々を、

何1つ忘れたくない。

私の中で、

あなたは生き続けて欲しいのだ。


もう…歌わないよ。歌えないよ。

あなたが歌わないのなら、

私も歌わない。


鈴と私は、

"Diva"と言う名の1つの片割れ。

大切な音を失った"歌姫"は、歌えない。

翼を失った鳥が翔べないように。


だから、安心して。鈴。私は永遠に…

あなたを忘れることはないのだから。




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