Diva~見失った瞬間から~

「私は、…分からない。」


「……。」


「この間ね、鈴のお母さんに会ったの。

変わってなかった。

それで…、鈴の手紙を貰ったよ。」

いつからだろう。

こんなに優柔不断で、

情けなくなったのは。


いや、

情けないのなんて、最初からだった。


「そこにはね、私に歌って欲しいって、

ちゃんと鈴の字で書いてあったの。」

私はいつだって中途半端。優柔不断。


何にも興味を持たない私を、

時鶴や鈴だけが受け入れてくれたんだ。


そして、鈴のお陰で初めて…何かに

熱中する気持ち良さを知ったんだ。


「私は、鈴が歌えないのに…

私だけ歌うなんて考えられないのに。」

鈴。あなたが居ないステージで、

私はどうやって歌えば良いの?


音を出して

導いてくれるあなたが居ないと、

私はあの輝かしいステージの上で

声を出すことも出来ないと言うのに。


「私が貫いてきた決意は…

全然空回りだった。

私はこれから…どうすれば良い?」




< 263 / 500 >

この作品をシェア

pagetop