Diva~見失った瞬間から~
「私は、…分からない。」
「……。」
「この間ね、鈴のお母さんに会ったの。
変わってなかった。
それで…、鈴の手紙を貰ったよ。」
いつからだろう。
こんなに優柔不断で、
情けなくなったのは。
いや、
情けないのなんて、最初からだった。
「そこにはね、私に歌って欲しいって、
ちゃんと鈴の字で書いてあったの。」
私はいつだって中途半端。優柔不断。
何にも興味を持たない私を、
時鶴や鈴だけが受け入れてくれたんだ。
そして、鈴のお陰で初めて…何かに
熱中する気持ち良さを知ったんだ。
「私は、鈴が歌えないのに…
私だけ歌うなんて考えられないのに。」
鈴。あなたが居ないステージで、
私はどうやって歌えば良いの?
音を出して
導いてくれるあなたが居ないと、
私はあの輝かしいステージの上で
声を出すことも出来ないと言うのに。
「私が貫いてきた決意は…
全然空回りだった。
私はこれから…どうすれば良い?」