Diva~見失った瞬間から~
何でかな。何で私はこうも不器用で、
何もかも旨くいかないのかな。
教えて下さい。誰でも良いから。
私は…どうすれば良い?
「………ごめんなさい。
こんなこと、聞かれても困るよね…。」
やっぱり、私は駄目だな…。
どんなに強がっても…私は弱い。
「歌うしかねーだろ。」
「……へ…。」
葉月君の目が、私を捕らえる。
捕らえて、離さない。
「空回りだった?それがなんだ。
カナは鈴が大切なんだろ?」
彼の瞳は…力強い光を放つ。
「鈴が大切なんだったら…カナが
鈴の最後まで願ったことを叶えてやる。
それで良いんじゃねえのか。」
「……。」
「何を今更迷うことが有るんだよ。
空回りだったっつー決意だって、
全部鈴のために
やったことだったんだろう?」
「……う、ん…。」
「音楽に触れない生活を
鈴のために出来るなら、
音楽と触れ合う生活だって
出来るだろう?」
「……っ…。」
葉月君の少し乱暴な口調も、
どことなく優しさが込もっていて…。
「俺は…、今ならカナが
音楽を拒んだ理由が少し分かるよ。」
「あ…。」
少しずつ…
葉月君は私との距離を詰める。