Diva~見失った瞬間から~
「おい葉月…
お前、いくら事務所同士の仲が
良いからって連絡無しで…。」
「ごめん。会わせたい奴が居てさ。」
葉月君が柚唯君と喋る度…
私は心臓が破裂しそうになる。
ホントに?
ホントに、
柚唯君は私を責めないのだろうか。
私を受け入れてくれるのだろうか。
葉月君が側に居るから
何とか私はここに立っている状態だけど
きっと彼が居なかったら
ここに来ようとも思わなかっただろう。
「会わせたい奴?誰だよ?」
ビクッと肩が震える…。
怖い、怖い…。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…っ…。
葉月君…っ…。
私の右手は、無意識に
葉月君のシャツの裾を掴んでいた。
《パシッ》
「……っ?」
何か温かさを感じた直後。その右手は、
私の手よりも大きな手に包まれていた。
それは、私の涙を拭ってくれた…
あの大きくて優しい手だった。
「…………ぜってー大丈夫。」
小声で、
言ったか言ってないかも分からない
とっても小さな囁き…。
でも。あなたの支えを欲した私には
ちゃんと聞こえていた。
「葉月。だから誰だよ。
用が無いなら帰って練習でもしてろ。」
柚唯君の、少し低めの声がする。
「…ホラ、カナ。お前の言いたいこと…
全部言ってこいよ。」
その言葉に…
私は背中を押された気がした。
《コツッ…》
私のローファーの音が懐かしく響いた。
「……柚唯君…
おひさしぶり…で、す…。」
「………………………奏乃…?」