Diva~見失った瞬間から~

「お前、今更何言ってんだ。」


「……っ…。」

柚唯君の声色は、読めない。


冷たくないけど、決して温かくもない。

やっぱり、駄目、なのかな。


「奏乃。」

名前を呼ばれて、私は肩を一瞬竦めた。

何を言われるのか、不安で堪らない。


「はい…。」

俯いちゃ駄目。俯いちゃ駄目。

ちゃんと、柚唯君の顔を見るの。


「何年だ。」


「え…。」


「お前が消えてから、

何年経ったと思ってる?」

私が…消えてから?

私が、"ケイ"を辞めたあの日から?


「……3年、経ちました。」

もう、無理かな。


「そうだ、3年だ。今更だな。」

遅すぎた。


「どんだけ待たせたんだ、馬鹿ヤロー。」


「すみませ…え?」

許される訳が無いと、

私は迷惑を掛けたことを謝ろうとした。


けど、その謝罪の声をも止まった。


……今、何て言った?


「この阿呆。

てめーは強情過ぎなんだよ。ったく。

初めからそう言えば良いじゃねーか。」

目の前の光景は、夢なのかな。




< 275 / 500 >

この作品をシェア

pagetop