Diva~見失った瞬間から~
「お前、今更何言ってんだ。」
「……っ…。」
柚唯君の声色は、読めない。
冷たくないけど、決して温かくもない。
やっぱり、駄目、なのかな。
「奏乃。」
名前を呼ばれて、私は肩を一瞬竦めた。
何を言われるのか、不安で堪らない。
「はい…。」
俯いちゃ駄目。俯いちゃ駄目。
ちゃんと、柚唯君の顔を見るの。
「何年だ。」
「え…。」
「お前が消えてから、
何年経ったと思ってる?」
私が…消えてから?
私が、"ケイ"を辞めたあの日から?
「……3年、経ちました。」
もう、無理かな。
「そうだ、3年だ。今更だな。」
遅すぎた。
「どんだけ待たせたんだ、馬鹿ヤロー。」
「すみませ…え?」
許される訳が無いと、
私は迷惑を掛けたことを謝ろうとした。
けど、その謝罪の声をも止まった。
……今、何て言った?
「この阿呆。
てめーは強情過ぎなんだよ。ったく。
初めからそう言えば良いじゃねーか。」
目の前の光景は、夢なのかな。