Diva~見失った瞬間から~

「伝票はこちらに置かせて頂きます。

ごゆっくり。失礼致します。」


「「……。」」

テーブルの上には

湯気を天井に向かって放つ

カフェオレが2つ。


「……で?」


「え?」


「カナの誕生日は?」

あぁ、話は続いてるのか。


「私の誕生日は12月。12月23日。

クリスマスイブの前の日だよ。」


「へー、惜しい…。」

うん、私もそれ思う。


けど、最近は誕生日なんて

全然考えてなかったな。


7年前。家族を失って。

3年前。親友を失って。


毎年時鶴が祝ってはくれるけど、

ただ、それだけだった。


「おぉ、甘っ。」

葉月君はカフェオレを口にするなり、

ちょっと驚いた様子。




< 292 / 500 >

この作品をシェア

pagetop