Diva~見失った瞬間から~
「「「「…。」」」」
…………あぁ、やっぱり。
葉月君は、ここ数週間の練習を
見たところ、全ての曲で
メインボーカルとギターだった。
つまり、葉月君が歌えないってことは、
メロディラインを
歌う人が居ないワケで。
碧真君は、サイドボーカルだし。
「………ライブ、中止なの?」
これじゃ、出れないじゃんか。
「…………中止には、出来ない。」
碧真君が言う。
「どんな状況だろうが
音楽を響かせるのが、俺らだから。」
翡翠君が言う。
「………でも、メインボーカル…。」
居ないじゃん…。
「そう。でも、俺らがこれから
メロディをぶっつけ本番で歌うのは
無理だ。」
碧真君が私をジッと見ながら言う。
「じゃあどうするの…?」
「奏乃。」
横から優杏に名前を呼ばれた。
「テン…ううん、葉月の代わりに、
ステージで歌って欲しいの。」