Diva~見失った瞬間から~

鈴。

私はあなたと造る音楽が大好きだった。

あなたと奏でる響きが大好きだった。


それは、全然変わってないよ。


だから、あなたが私の隣から

居なくなるあの瞬間、全てを見失った。


光も、希望も、歌も、未来も。

全部、暗い孤独に呑み込まれた。


何で、あんな状態になるまで

教えてくれなかったの?

どうして、1人で苦しんでいたの?


そう、何回も思ってた。


でも、あなたがあなたの命の最後まで、

私に言わずに

ステージに立っていた理由が

今は少しだけ分かった気がする。


あなたは…

歌で輝いていたかったんだね。

最後の最後まで。

あなたは歌を奏でていたかったんだね。


私、鈴がそんなことを想ってるのが

全然考えられなくて、ただ哀しかった。


いつか、

歌姫になったらあなたに送ろう。

そう思って創ったあの曲は、

あなたに送る時は訪れることなく、

未完成のまま…放置して。


私の時間はあの時から

動かなくなかった。




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