Diva~見失った瞬間から~
「……カナ。」
掠れた声で、私を呼ぶ。
ちょっと喉の調子、良くなったかな?
「なぁカナ。」
だって、だってね。
「歌うのは、やっぱり楽しいだろ?」
この人は、いつだって。
「カナの奏でる音は、
本当に綺麗だよな。」
鈴や時鶴のように、
"私"を見てくれるから。
こんな人に出会えるなんて、
偶然だなんて思えないんだよ?
「カナ。」
そして、私をその名で呼ぶ優しい声も。
「お疲れ様。ありがとう。」
私の喜ぶ言葉をくれる温かな声も。
「……うん。」
全部全部、あなたに似てるんだもん。