Diva~見失った瞬間から~
そわそわそわそわ。
そわそわそわそわ。
そわそわそわそわ。
そわそわそ…って、
いつまでもやってんの。
「時鶴。何そわそわしてんの。」
相変わらず落ち着きの無い。
蒼空君はあんなに
落ち着いてるんだけどなぁ。
何で時鶴は落ち着き無いのかな。
「奏乃…歌えたんだよね?」
「え、まぁ…うん。」
「もう、歌えるんだよね!?」
「……うん。」
目の前に座る時鶴は少し震えてる。
次の瞬間。
「奏乃ーッ!」
「うおっ。」
また時鶴が抱き付いて来た。
「奏乃…良かったー!
もう、苦しんでないんだよね?
もう、歌いたいって、
堂々と言えるんだね?」
「うん。苦しくないし、言えるよ。」
「良かったぁぁああ…。」
私は一体何をしてたんだろ。
時鶴はこんなにも
私を想っていてくれたのに、
私は時鶴との間に線を引いていた。
私の中に踏み込むなって、
凄く酷いことを無意識に思ってた。
「ありがとう…ありがとう、時鶴。」
時鶴も、こんな私を見て、
どれだけ辛いと感じたんだろう。
時鶴は、人1倍優しいって、
分かってたのに。
馬鹿みたいに強がってる私を見て、
時鶴がどれだけ
辛く感じるか分かってたのに。
「奏乃は!頭が良いくせに馬鹿なの!!
もっとあたしにも
頼ってくれても良いじゃん!!」
「うん。」
「奏乃…全然笑わなくて、悲しそうで。
そんな奏乃を見てるのが辛かったよ。」
「…うん。」
「あたしは離れないって、
何度も言ったじゃん!!
少しくらい、頼ってよ!!」
「うん。ごめんね。」
私は時鶴に、目一杯謝った。