Diva~見失った瞬間から~
「と、ところで。蒼空君は?
蒼空君は何を買いに来たの?」
私が誤魔化すことに成功したからか、
黙っていた時鶴が蒼空君に話し掛けた。
「え、あぁ。靴だよ。靴。
スパイクがもう古くなったから。」
そう言ってガサッと蒼空君は
手に持っている靴屋のロゴが入った
ビニール袋を見せる。
そのビニール袋は
角張った形をしていて、中には
靴が箱ごと入っていると分かった。
スパイク…かぁ。
「サッカー部は大変だね。」
蒼空君は、強豪校のサッカー部に所属。
土日も練習がある時は少なくない。
「まぁ、毎日ハードだけど楽しいよ。」
また、微笑んで見せる蒼空君。
夢に向かって人生を歩む姿は、
私には眩しく、そして羨ましく見えた。