Diva~見失った瞬間から~
「蒼空君、1人で来たの?」
時鶴が再び質問をする。
「いや、高校の友達と来たんだけど…。
アイツ、色々と忙しいらしくて。
途中で帰ったんだ。」
「友達っ!?」
お、彼女(時鶴)が食い付いた。
彼氏の"友達"が気になるらしい。
多分、女の子かも…
とか思っているんだろう。
私は蒼空君が時鶴以外の女の子と
一緒に歩く姿とか…想像つかないけど。
「時鶴。高校の友達だって。忘れた?
俺の高校、男子校なんだけど。」
「………あ。」
蒼空君にサラリと受け流された直後、
一気に時鶴の顔が赤くなる。
「と、友達って、天瀬君!?」
真っ赤な顔を
必死に隠しながら時鶴は言う。
自分の火照った顔の話は
されたくないらしい。
「あぁ。そうだよ。」
クスクスと笑いながら、
蒼空君は時鶴の頭に手を置いて撫でる。
……………。あれ、
なんか今頭に引っ掛かってる…ような。
この目の前のバカップルのせいかな。
まぁ良いか。分かんないし。
「もぉっ!!子供扱いなんだからっ!
奏乃、早く買い物再開しよっ!
蒼空君!また明日ねっ!バイバイ!!」
「え?あ、ちょっ…時鶴。」
私を置いてズンズン行ってしまう時鶴。
ヤバ。このままじゃ、はぐれる。
「じゃあ蒼空君。また明日ね。」
時鶴を追う為に、私も蒼空君と別れた。
「うん。時鶴をヨロシク。」
………………バカップルめ。