Diva~見失った瞬間から~

歩いて、電車乗って、また歩いて。

結構長かった気がするけど、

まぁ無事に私の家に着いた。


「カナって勉強出来ねぇの?」


「勉強?」

何で勉強の話?

私は家の門を開けながら首を傾ける。


………あ、

宿題手伝ってって言ったんだっけ。

連れてくる口実だったわ。


「時鶴よりは良いけど…

悪くはない程度だよ。」


《ギィィィ…》

門を開ける。


えーっと、時鶴によると、

リビングにセットしてあるんだよね。

誕生会の準備。


《ガチャッ》

考えながらドアを開けた。


「どうぞ。」


「ん。」


「あ、えと…。

べ、勉強道具持ってくるから

リビングで待っててくれる?」

またどもった。

何でこう、自然に言えないんだ。


「んー、

リビングって、あのドアだよな?」

葉月君が廊下の突き当たりにある

ドアを指差す。


「うん、そこそこ。じゃあ、行ってて?」


「分かった。」

ぃよしっ!何とか時鶴に課せられた

ミッションはコンプリート(?)した。


私はそぅっと葉月君の後を付いていく。

時鶴達…ちゃんと準備出来たかなぁ。


葉月君はリビングのドアに手を駆けた。


《ガチャ…》

ゆっくりと開ける。


暗闇のリビングが

葉月君の背中越しに見えた。

………あれ?



< 342 / 500 >

この作品をシェア

pagetop