Diva~見失った瞬間から~
歩いて、電車乗って、また歩いて。
結構長かった気がするけど、
まぁ無事に私の家に着いた。
「カナって勉強出来ねぇの?」
「勉強?」
何で勉強の話?
私は家の門を開けながら首を傾ける。
………あ、
宿題手伝ってって言ったんだっけ。
連れてくる口実だったわ。
「時鶴よりは良いけど…
悪くはない程度だよ。」
《ギィィィ…》
門を開ける。
えーっと、時鶴によると、
リビングにセットしてあるんだよね。
誕生会の準備。
《ガチャッ》
考えながらドアを開けた。
「どうぞ。」
「ん。」
「あ、えと…。
べ、勉強道具持ってくるから
リビングで待っててくれる?」
またどもった。
何でこう、自然に言えないんだ。
「んー、
リビングって、あのドアだよな?」
葉月君が廊下の突き当たりにある
ドアを指差す。
「うん、そこそこ。じゃあ、行ってて?」
「分かった。」
ぃよしっ!何とか時鶴に課せられた
ミッションはコンプリート(?)した。
私はそぅっと葉月君の後を付いていく。
時鶴達…ちゃんと準備出来たかなぁ。
葉月君はリビングのドアに手を駆けた。
《ガチャ…》
ゆっくりと開ける。
暗闇のリビングが
葉月君の背中越しに見えた。
………あれ?