Diva~見失った瞬間から~

「…葉月君…は…。」

ようやく絞り出した声は情けない。


「ん。」

それでもあなたは気にせずに

相槌を打ってくれる。


「…葉月君は…っ…私を置いて…

どこかに行ってしまわない…?」

情けない私の声も、

私の想いは伝えてくれる。


私が人と関わるにおいて

考えたくなくても不安で堪らないこと。


「葉月君は…私を1人にしない…?」


「………カナ…。」

私がこの世界で最も恐れるモノ。

それは、"孤独"だった。


私のモノクロだった世界は、

今は葉月君によって

鮮やかに色付いているけど

葉月君が居なくなったら?


また、白と黒…

灰しか無い世界に逆戻り。


前までそれが当たり前だったとしても

色の温かみを知ってしまえば

そのモノクロの世界は酷く辛い。


鈴の時で、

それらは十分に分かっている。

だから今、葉月君に聞いた。


たかだか16ちょっとの女子高生が

言うには重すぎる質問だろう。


高校生の殆どのカップルは、

恋人をつくっては、別れて。

それが自然な流れなのだから。


ねぇ、分かったでしょう。

私は、凄く臆病で馬鹿で重い女だって。


葉月君は、こんな私には勿体無いよ。


「……俺はカナの側に居る。」

数十秒の沈黙の末、

葉月君が答えを出す。


「俺は鈴みたいに病気にかかってねぇし

交通事故なんかで死んだりもしない。」


「………、……。」


「俺は、お前の側を離れない。」



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