Diva~見失った瞬間から~

校門を過ぎ去り、

急に聞こえた声に驚く。

いや、

声がするのは当たり前なんだけど。


携帯から聞こえる葉月君の声が、

携帯を当てている左耳だけじゃなくて

反対の右耳にまで響いてきたからだ。


私は一瞬静止して、ついさっき

過ぎ去った校門を振り返った。


「……え、は、葉月君…?」

校門には、あの日と同じように

葉月君が寄りかかっていた。


………やっぱり、絵になるな。


「課外お疲れ、カナ。」

そう言う葉月君は、私服だった。


「葉月君は…課外とか無いの?」


「俺?俺、3年。受験生。

うちの高校、受験生は課外無いんだ。」


「あ…そっか。」

葉月君、受験生じゃん…。

ってことは部活も無いのかな。


「な、カナ。これから暇だよな?」


「え?うん。暇かな。」

葉月君、また格好良くなった気がする。

前にも増して

色気というかなんというか(汗)。


「じゃ、うち来いよ。」




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