Diva~見失った瞬間から~

いつの間にか私の家の前。


葉月君と一緒に居ると、

時間が過ぎるのが早い。


「送ってくれてありがとう。

明日、楽しみ。」


「別に。

じゃあ明日、7時に事務所だな?」


「うん。遅れるかもしれないから、

事務所の前に私が居なかったら

事務所の中に居てね。

もしかしたら私の方が

先に着いてるかも知れないし。」


「あー、分かった。」

よし。


これで

今日の分のミッション(?)はクリア。

後は当日だけ。


「葉月君。今日は本当にありがとう。

また明日ね。」

自分で言うのも変だけど、

今の私…きっと凄く笑顔だ。


「あぁ。じゃあな。」


「気を付けて帰ってね。」


「ん。」

葉月君は私に背を向けた。


華奢だけど、大きな背中。

……後ろ姿まで格好いいとか、凄いな。


今日は12月23日。

明日、うまくいきますように。


《ヒュゥゥ…》

冬の冷たい風が頬にかすめる。


私は、葉月君の背中が見えなくなるまで

ずっと外でその後ろ姿を見ていた。




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