Diva~見失った瞬間から~
「「「「………。」」」」
静かになった。
沈黙が私を不安にさせる。
駄目かな。やっぱり、駄目なのかな。
どうせまた、
逃げ出すんだろって思われてるのかな。
私は…必要無いのかな。
「カナ。最高。」
「…………え?」
沈黙を破ったのは、
葉月君の甘い声だった。
俯きそうになった顔を上げて
葉月君の方を見ると…
葉月君は微笑んでいた。
「クリスマスプレゼント?これ。
カナがCanzoneに入ってくれるって。
その為にあんなに長かった髪の毛
切って来てくれたのか?」
上品な靴音を鳴らしながら
葉月君は私に近付いてくる。
「カナ。その髪型、似合うな。
Canzoneのボーカルになってくれる?」
「……え、…。」
そんな言葉、私が貰って良いの?
私の中からは
不安なんてモノは抜け落ちて、
驚愕というモノで埋め尽くされた。
「………い、良いの…?
私…なんかが、ボーカルでも…。」
謙遜なんかじゃない、
私は本当に駄目な人間だから。
そんなに、あっさりと
受け入れてくれると思わなかった。
「カナで良い?違うな。
Canzoneのボーカルは、
カナが良いんだ。」
涙が出そうになった。