Diva~見失った瞬間から~

「「「「………。」」」」

静かになった。


沈黙が私を不安にさせる。

駄目かな。やっぱり、駄目なのかな。


どうせまた、

逃げ出すんだろって思われてるのかな。


私は…必要無いのかな。


「カナ。最高。」


「…………え?」

沈黙を破ったのは、

葉月君の甘い声だった。


俯きそうになった顔を上げて

葉月君の方を見ると…

葉月君は微笑んでいた。


「クリスマスプレゼント?これ。

カナがCanzoneに入ってくれるって。

その為にあんなに長かった髪の毛

切って来てくれたのか?」

上品な靴音を鳴らしながら

葉月君は私に近付いてくる。


「カナ。その髪型、似合うな。

Canzoneのボーカルになってくれる?」


「……え、…。」

そんな言葉、私が貰って良いの?


私の中からは

不安なんてモノは抜け落ちて、

驚愕というモノで埋め尽くされた。


「………い、良いの…?

私…なんかが、ボーカルでも…。」

謙遜なんかじゃない、

私は本当に駄目な人間だから。


そんなに、あっさりと

受け入れてくれると思わなかった。


「カナで良い?違うな。

Canzoneのボーカルは、

カナが良いんだ。」

涙が出そうになった。




< 408 / 500 >

この作品をシェア

pagetop