Diva~見失った瞬間から~
「……ブレスレット買いに行こうかな。」
ボソッと私は言う。
「クスクスッ。」
すると、奏乃が笑った。
女の子らしく笑う奏乃に、
私は少しムッとした。
「何で笑うの…。」
ぶっきらぼうな私の声。
ホントに我ながら可愛くないと思う。
「優杏、凄く可愛い。」
「………は?」
「何か、碧眞君のこととなると、
いつも以上に可愛くなるよね。
優杏って。」
「……?」
碧眞のこととなると…?
「碧眞君のこと、
凄く好きなんだなぁって
私は今の優杏を見てると思うよ。」
「……えっ。」
カァァっと顔に熱が一気に集まった。
奏乃は凄い。
可愛くない私を可愛いって言って、
その上
私にそれを否定させないんだから。
「ブレスレット、見に行こうか。」
奏乃は私に微笑んで、席を立つ。
「あ、ま、待って。」
私は赤い顔を隠しながらカップに残った
ぬるい紅茶を喉に流し込んだ。