Diva~見失った瞬間から~
………あれ?おかしい。
確かに今、叩く音はしたのに、あたしは
身体のどこにも痛みを感じない。
……校舎を叩いたのかな?
いやいや、そんなワケ無いでしょ。
「………いったー…。」
「……え?」
聞きなれた声が聞こえた。
あたしは慌てて瞑った目を開けた。
「爪、ちゃんと切ってよ。痛い。」
「か、奏乃っ!」
目の前に居たのは奏乃だった。
「だ、誰よあんた!」
手を上げたら女の子が声を張る。
「あー…今ので眼鏡飛んじゃったし…。」
奏乃…この状況で眼鏡…?
「マヤ!ソイツ、牧原時鶴に
いつもくっついてる地味女だよ!」
後ろに立つ2人の内の1人が言った。
「地味女って…言葉に気をつけなよ。
私、一応先輩なんだけど。」
奏乃が3人組に言った。
その声はいつもと変わらない、
落ち着いた声だ。