Diva~見失った瞬間から~
「それで…
歌音は楓にあげるんでしょう?」
「うん!」
「何をあげるんだっけ?」
「チョコ!」
「そのチョコはどこに在るの?」
「………………お、おかあさぁぁん…。
わ、わたし…チョコもってないよぉ…
グスッ。」
「…(肝心な所は考えてないのか)。」
「ど、…どうしようっ…おかあさん…。」
「んー…そうだねー。じゃあ、
このチョコ持っていきなさい。」
おかあさんは、
おおきなれいぞうこをあけて
ピンクのふくろをもってきた。
「これね、
昨日お母さんが作ったチョコ。
今日はこれを持っていきな?」
「え!でもわたしが
このチョコもってったら、
おとうさんのチョコが…。」
そうだよ。おかあさんはおとうさんに
チョコあげなきゃいけないのに…。
「大丈夫!冷蔵庫にまだあるから!」
「………ほんと?」
「本当!」
「でも…
わたしのつくったチョコじゃない…。
かえでくんにわたせないよぉ…。」
さくらちゃん、
じぶんでつくるってゆってた。
じぶんでつくったチョコじゃなきゃ
だめなんだよきっと。
「んーそれは、大丈夫なんじゃない?
また今度ちゃんと歌音が作ったチョコを
挙げれば良いでしょう?」
「………そうかなぁ…。」