Diva~見失った瞬間から~
「……んっと。それは、今日が何日か
知らなかったっつーこと?」
「………っ…。」
私は小さく頷いた。
「「………。」」
私と楓の間に、沈黙が流れた。
楓…絶対に呆れてる…。
私、楓に嫌われちゃう…。
「ふっ…アハハハハ。」
「……え。」
不安でいっぱいな私に聞こえたのは、
楓の笑い声だった。
「歌音っ。」
「ひゃぁっ…!」
途端に楓に抱き締められた。
な、な、何…っ。
「お前、やっぱり最高だよ。」
「え…?な、何で…。」
最高って…
寧ろ今日の私は最悪か最低だ。
「何で…楓…怒らないの…?」
「ん?怒る?そんなことしねぇよ。
俺も今日がバレンタインだってこと、
忘れてたし?」
「…………へ?」
「俺も、カレンダー見てない。
歌音と一緒だ。テレパシーか何かか?
寧ろ嬉しいよ。」
大好きなバニラの香りが強くなった。
「それとも。
歌音は俺のこと嫌いなのか?」