Diva~見失った瞬間から~
♯必然♯
《コツッコツッ》
「「……。」」
《コツッコツッ》
「「……。」」
……………………(ーー;)。
何だ、この微妙過ぎる空気は。
けっして居心地が悪い訳ではない。
うん。…が、良い訳でもない。うん。
……一言で表すと、気まずい。
「………あの。」
どうせこのままなら、と。
私は天瀬さんに話し掛けることにした。
「ん。」
彼は短く、でもちゃんと
私に聞こえるように返事を返した。
「何で、私と帰ろうと思ったんですか。」
さっきから抱いていた1番の疑問を
私は彼に聞いた。
「「……。」」
………また沈黙。
「……から。」
「え?」
よく聞こえない。
足音で彼の声は打ち消されていた。
「だから。
すっげぇ気まずそうにしてたから。」
………?
よく分からない。
気まずそうにしてた?いつ?
「目の前の牧原と蒼空見て、
気まずそうにしてただろうが。」
「………あ。」
そうゆうことか。
「気を使ってくれたんですか?
ありがとうございます。」
これは素直に、
助かったのかも知れない。
実際、あの場は
居心地が良いとは言えなかったしね。
「いや、別に…
俺もあのバカップル見てんの
いい加減イライラしてきたし。」
イライラ………(ーー;)。
そんなこと言ったって、
彼氏に彼女だもの。
イチャイチャするのは…
まぁ仕方がないことで。
天瀬さんだって、
彼女とイチャイチャくらいするでしょ。
「天瀬さんは、彼女とどうなんですか?」
「は?」
あ、しまった。
ストレートに聞きすぎた?
自分の彼女の話なんて
赤の他人に普通言いたくない…かな?
「何それ。俺に彼女居る前提?」
「え?」
彼女、居ないのっ!?
こんな美青年に彼女居ないのっ!?
世の女子はどう感じるのかなぁ…。
「あ、でもじゃあ…
告白されたりしてるんですか?」
毎日毎日、時鶴みたいに…
「ちょっと良いですか?」的な。
うん、普通に創造着くな。
すると、
天瀬さんは盛大な溜め息をついた。
「俺、蒼空と同じ高校だから。
男子校に女子が居ると思ってんの?」
………男子校?
「あ、そうか。蒼空君と同じ高校って
言ってましたね。」
言われてみれば。
「つか、」
天瀬さんが話し始めた。
「"天瀬さん"って地味に嫌なんだけど。」
「えっ…。」