Diva~見失った瞬間から~
『―――カナ。』
「………っ…。」
目の前に一瞬。幻覚が見えた。
ひどく懐かしい、笑顔が。
私に微笑む、
泣きたくなる程に切ない幻覚が。
私は無意識に目の前に手を伸ばし、
その袖をすくう。
「――――鈴(リン)…。」
袖を捕まえた。
あぁ、やっと会えた。
ずっと…ずっと会いたかった。
「カナ?どうした?」
もっと、呼んで。
「……鈴っ…。」
"彼女"の名前を呼びながら、
捕まえた袖の先に"彼女"の顔を捜す。
でも、その先に有ったのは。
「大丈夫か?」
「―――っ!?」
………違った。