Diva~見失った瞬間から~

「おはようございまーす。」


「おはようございます。」


「あ、天瀬君だ。おはよー。」


「おはようございます。」

爽やかに挨拶をする葉月君の後を

ひたすら俯いて着いていく私。


……顔だけは見られたくない。

私は今日に限って眼鏡掛けてないし。

最悪だ。


「葉月君っ!今日は部活だったの?」

突如、背後から声がした。

可愛らしい、女の子らしい声。


葉月君は、ゆっくりと振り返る。

振り返った葉月君をチラ見すると、

…………あれ。なんか嫌そうな顔。


「………名前で呼ぶなって、

何度言ったら分かるワケ?

馴れ馴れしい。」

えぇーーーーっΣ(-∀-;)!?

つ…冷たくない…!?


「いいじゃない、別に!

名前くらいーっ!」

ぶ…ぶりっ子…!ヤバい、

冷たい葉月君の理由超分かる…!


「……悪いけど、これから仕事だから。」

葉月君はそう言い放つと、

また歩き出す。


「……わっ…。」

急に腕を引かれた為、

私は少し声を漏らした。

急に腕を引っ張るなー!


「あぁっ!!ちょっと葉月くーん!

その連れてる子、誰なのよぉーっ!?」

私…!?


「ちょっとー!」と未だに廊下で

叫んでいるぶりっ子(←奏乃命名)を

完全無視し、葉月君はズンズン歩く。


てゆうか…

さっきからずっと歩いてるけど、

まだ着かないの…?


「………むゎっ!」

………………思いっきり鼻打った。

それより葉月君にガッツリぶつかった。


「うわ、カナ大丈夫かよ?」

……面目無い。


私を(とゆうか私の鼻を)心配げに見て、

葉月君はドアを開けた。


え゙…私も入るの?





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