君への小さな想いを掲げて *my first love*
『1番線、電車が参ります。危ないですので黄色い線の内側にお下がりください』

その時丁度電車がくるアナウンス鳴り、私はその隙に視線を前に戻した。
…危なかった。

「トベヤマくん?電車来るよ?」

「あぁ…。俺ちょっと待つ人いるからさ」

「…そーなんだ。じゃね!」

そんな会話が聞こえてきたので、私はまたトベヤマくんをチラ見してしまった。
トベヤマくんと同じ学校の男女がベンチを立つ中、トベヤマくんはただ一人、黒いヘッドホンをして座っている。

…待つ人って誰なんだろ。

そう思ってふと、視線を前に戻すと丁度来ていた電車のドアがピシャリとしまった。

「あっ!」

そう声を上げたときにはもう遅く、電車ははしり去っていってしまった。
…ついてない。

柱にダランと寄りかかり、次の電車がくるのを待っていたその時だった。
隣に人の気配を感じたのは。

恐る恐る横を見れば、見覚えのある黒いヘッドホンが見えた。

「…っ…」

トベヤマくんだ。
何でこっちにいるんだろう。





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