君への小さな想いを掲げて *my first love*
「じゃあ決まりね」

ニッコリ笑ってみせると、矢杉くんは頬をポリポリかいて仕方なさそうに頷いた。

私は助けてもらったお礼をしなきゃ済まない主義で、しつこいって彩にも言われたことがある。

しょうがないじゃん。

相手にも喜んでもらいたいんだ。






「あーあ。希凛の癖出ちゃったよ…。ついに男子にも及んだか…」

「いいでしょー。お礼するぐらい!」

「希凛はつくしすぎ!彼氏が出来てそんなことしまくってたらあっという間に破局だよもう。」

放課後、教室のドアに寄りかかりながら矢杉くんを待っていると、彩が呆れたように私の隣に並んだ。
彩の方に視線を向けると、私より小さい彩は私の顔を上目遣いで見ていた。

「だから彩と並ぶと身長目立って嫌ぁー」

「はぁ!?アンタ私に嫌味言ってんの!?」

彩はほっぺを膨らませて私を睨む。
ほら、もうその時点で可愛いじゃん。

こんな背丈だったら戸部山くんと並んでも違和感ないのかな…。

って何で戸部山くんでてくんのさ。
何考えてんの私。

「あ、希凛が顔赤い。」

「う、うっさいな」

「あ、好きな人のことでも考えてたー?」

彩はニヤニヤしながら私を下から上まで見る。








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