君への小さな想いを掲げて *my first love*
黒いヘッドフォンを頭に被り、灰色のマフラーを首に巻いた男の子。

そこらで有名な男子校の制服を着ている。

背はさほど大きくないけど、肩幅の大きさやブレザーの袖から出ているゴツゴツした手を見ると、中学生でも1、2年ではないと確信した。


今日は平日だし、受験生以外なら普通に学校へいっているはずだから…。

きっと彼も受験を受けた後なのだろう。

…にしても背が小さい。


せいぜい158センチくらいかな。

163センチで長身な方の私からしたら結構小さめだ。
そんな事を考えながら彼の寝顔を見つめていると、急に閉じていた目が開いてバチッと目が合う。

すかさず目をそらし、空中を見つめた。

向こうは私と目が合ったことなど気にしてもいないようだ。

彼の方に視線を移すと、彼は下を向いてただ一点を見つめていた。

彼の視線の先を追いかける。


そこに合ったのはベージュの熊のパスケース。

…私のだ。






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