君への小さな想いを掲げて *my first love*
「さっきからどーした?」

「…えと…具合、悪いのかな」

心配そうに私の顔をのぞき込む優くん。
私は、苦笑いして顔を上げる。

「大丈夫か?あったけぇ飲み物、買ってくっか?」


『ドアが閉まります。ご注意ください』

優くんが私に問いかけてすぐに、目の前の電車が、2人の乗った電車のドアが閉まった。
丁度電車の中に入った2人は電車に乗っていない私と優くんを見て、驚いたように目を見開く。

電車から出ようとする2人の願いは届かぬまま、電車は走り去った。

「あ…。」

気まずそうに優くんが私に振り返った。
私はまたも苦笑いする。

…痛い。
胸に注射が刺さったような痛みがする。
今日どうしちゃったんだ、私は。

「じゃ、あったけぇ飲みもん買ってくる。希凛、ここで待っててな。次の電車で帰ろうぜ。」

「…うん」

気を使うような足取りで、優くんは自販機へ走っていった。
…本当、どうした訳?
私、何かの病気?





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