君への小さな想いを掲げて *my first love*
ベンチにすとんっと腰かけ、走り去った電車の方を見る。
…私ってやっぱり…。

「ほれ」

「…っあ、ありがとう」

急に頬に熱いものが触れて、びくっと後ろを振り向くと笑顔の優くんがいた。
私の頬に触れていたのは、ホットココアの缶。

「これで大丈夫だった?お茶かココアだったら絶対甘いもんの方がいいんじゃねぇかなっと思って」

「うん、ありがと。」

「…あのさ」

「うん」

「もしかして、光のこと、好き?」

「…ッ」

優くんの突然の問いかけに私は持っていたココアを太ももの上に落とした。
太ももにあったかい缶が転がる。

「図星?」

「…わかんない」

私の方を見てクスっと笑った優くんに、私は苦笑して転がる缶を見つめた。
…本当、わっかんない。


「うーん。まぁ、俺が好きかどうか聞いたとき、動揺したんだろ?好きなんじゃね?」

「でも、まだ会ってちゃんと話したのは昨日と今日くらいだよ?なのに…」

「別に、好きになる早さなんて人それぞれだよ。会ってちょっとしかたってなくても、好きになるのはおかしくない。」






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